宮島大輔さんインタビュー

エンジニア 宮島大輔さんに『受託開発の新たなる可能性 』についてお話を伺った。

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宮島大輔(みやじま だいすけ)さんは学生時代から教育・ITベンチャーでのインターンを経験し、大学卒業後、若干24才にして 株式会社ロジックロジックの取締役として経営に参画し、戦略設計からデザイン、プログラミングまでをマルチに担当するエンジニアの一人である。

今回のインタビューでは、受託開発の新たなる可能性についてお話を伺った。

◆どのような学生生活を過ごしていましたか?

大学1年生の春に当時住んでいたところの近くで塾講師のアルバイトの募集を見つけて、そこで働くことになりました。その塾はホットティー株式会社という(現在はスマートフォン向けのネイティブアプリのゲームを制作・開発している)ベンチャー企業が運営していて、この塾との出会いは僕が今、ベンチャーに身を置くきっかけとなったものでした。

塾といっても大手の学習塾とは違って、机がたった2つの教室で個別指導をするというかなり小規模なものでしたので、だんだん働いていくうちに塾講師としての業務以外にも、自分から塾のホームページをリニューアルしたりするなど、積極的に活動を広げ、新聞広告をイラストレーターで作っていた時期もありますね(笑)。どうやったら会社を大きくしていけるかといったことに頭を悩ませて、経営面にも参画するようになっていきました。

この時、自分で何もないところから出発して働くことの楽しさを知りました。こういった厳しくも楽しい環境を早くから体感できたことはとても大きかったと思います。

◆その後、大手ではなくベンチャーの道に進んだ理由は何ですか?

一般的に、

  • ベンチャー企業=よく分からなくて怖いもの
  • 大手の会社=ちゃんとしているもの

というイメージがあると思います。確かに大きな企業に入って安定した給料をもらうことに魅力を感じる人もいると思います。ベンチャーに入ってお金を稼ぐことの大変さを痛感しますので、給料だけでみたら大手の会社に行く方が良い選択なのかもしれません。しかし、僕の中で、自分で何か事を成し遂げたい想い』がずっとあったので、大学を卒業後、最終的には内定をもらっていた大手の会社にはいかずに、ベンチャーの道に進むことを決めました。

◆これまで作ったことのある、またはこれから作ろうとしているサービスやアプリケーションがあれば教えてください。

一番初めに作ったものはHTMLで作った勤務先の塾のWebサイトでした。その後、クライアント企業様の方のWebサイト、LAMP環境のシステム、Androidアプリ、iPhoneアプリを作ってきました。

こちらから、こうした方が良いのではないか?といったご提案をすることはありましたが、基本的にはお客様のアイデアや構想に基づいて制作していたものです。はじめは技術的なノウハウを一切知らなかったのですが、目の前のお仕事に対して納期に間に合わせようと、一つ一つの案件に真剣に向き合っていきました。開発のために必要な知識は、誰に教えられるわけでもなく、案件に応じてほぼ独学で身につけていきました。

◆サービスやアプリケーションを創る上で大事なことは何ですか?

どんなに企画が良くても、最終的にモノ・サービスまで落としこめなければまったく意味がありません。エンジニアは、技術力を提供することでその重要な部分でバリューを発揮することができるのではないかと思っています。最終的にどんな企画も付加価値をつけることが大事なのです。

エンジニアはプログラムを普通に書く能力だけがあっても、それだけならば強みにはなりません。技術を磨いてそれを強みにするという選択もそうですが、私はマーケティングスキル、経営者的な発想が出来るなど、違った視点から解決までのアプローチができる力を磨くという選択があるとよいと思っています。【ものづくり】では、さまざまな能力が組み合わされている訳ですから。 

◆取締役に就任される前と後とでは、ご自身の考えは変わりましたか?

インタビュー的には、「変わった」って言ったほうがきっといいんでしょうけど…

まったく変わっていません!(笑)

ホットティーでも取締役だったので立場的に大きくは変わらないということもありますが、自分が今何をやりたくて、そのためにどうすればいいかを様々な角度から考えることの方が、立場によってものの見方を変えることよりも大切だと思っています。

僕は、昔から何かに対してストイックに打ち込んでいないと不安になるタイプなので、今の取締役という立場になったから、取締役的な考え方に変わったわけではないんですよね。それこそ中高の部活や、大学受験勉強をしていた時代とストイックな部分に関しては変わっていない気がします。

◆なぜ自らサービスを立ち上げるのではなく、受託開発をされているのでしょうか?

ここ数年は、自社で面白いスマートフォンアプリケーションやWEBサービスを作って一発当てたい、と活動されているスタートアップが、かなり目立っていると思います。同じくらいの世代の皆さんが活躍しているのは刺激になりますし、面白そうだな、楽しそうだなとも思います。ただ、ビジネスとしてやる以上、面白い物を作ることが大切なのではなく、売上・利益をあげることが大切だと思っていて、まずできることからやっていこうと考えていました。

受託開発は開発に対して対価をもらえる商売ですので、しっかりやっていれば一定以上の評価をしていただけて、売上をたてることもできる。感謝もしていただける。やりがいのある仕事だと思いました。しかしその一方で、受託開発の苦しさも経験しています。

単発の開発案件を人月計算で受け続ける従来の受託のやり方では、技術者も疲弊してしまいますし、会社全体も不安定な状態に陥りがちです。人日×単価では、人を増やすことか単価を上げることでしか成長しないので、スケールしません。こういった苦しさから、受託ビジネスを脱却して自社サービスをやろうとされる会社も多く存在すると思います。しかし、お客様が消費者(C)であろうが、企業(B)であろうがものづくりに対する根本は同じはずです。

華やかに見える自社開発とは違い、受託ビジネスは地味で脚光を浴びない、そんな受託ビジネスに光を当てていくのが僕らロジックロジックの使命だと思っています。

◆受託ビジネスに光を当てていくためにこれからどういうことをしていきたいと考えていますか? 

ロジックロジックでは、アプリケーション保守やサーバー保守、コンテンツ更新などの月次運用案件をセットで受注し、ストック収入を得ることを徹底的に意識し、全社的に実施してきました。たったこれだけのことで、数年経つと同じような開発会社とは歴然とした違いが生まれます。

ご相談いただくクライアント企業様の要望は様々です。一つ一つの案件に対して僕たちは確かな技術力とノウハウでお答えし、開発したらそれでおしまいではなく、その後も継続して保守・改善活動を行っていく。長期的そのプロジェクトを盛り上げていく支援をさせていただくのが弊社の強みであり、今後も強化していきたいところです。

それができれば、受託ビジネスのあたらしい形が見えてくると思っています。
ベンチャーキャピタル(VC)が有望なベンチャー企業に資金や毛系のノウハウを投資、援助するように、ロジックロジックは技術力やプロジェクト遂行におけるノウハウを投資、援助をしていきたい。受託ビジネスの本当のあり方を探って、受託ビジネスのロールモデルになっていきたいです。
僕個人としては、

  • 時代の変化に合わせて勝負できる技術
  • 技術を補強するマーケティングや経営能力

をもっと貪欲に身につけていきたいと思います。まだまだ全然力足らずですが、仮に五年後スマートフォンがこの世からなくなってしまっても太刀打ちできるような力をもっていたいですね。

◆これだけは言っておきたいなど、ご自由に一言お願いします!

エンジニアを目指す学生は、武器を一つ身につけてほしい。

エンジニアという職業に興味があるのなら、学生のうちからITベンチャー企業でインターンをしてみるのも良いと思います。『挑戦するということは成長するチャンスを得るということ』です。自分はエンジニアとしてどういった強みがあるのかは、やってみないと分からないところも多いと思います。ただプログラムを書く人で終わるのではなく、自分がこれだと思う武器をまず一つ選んで、努力してほしいです。

(取材・文 / 佐藤 雄紀)

『未来は与えられるものでなく、自らの手で創るもの』

宮島さんにお話を伺ってみて思うのは、ものづくりをする上でより良いものを生み出し続けていくには、小さな視点からだけでなく、大きな視点からも物事を捉える必要があるということである。『自分はスペシャリストを目指すのか、それともゼネラリストを目指すのか。』これは人によって違っていいと思うが、より良いものづくりのためには【スペシャルなゼネラリスト】になるべきかもしれない。もちろんそのためにはエンジニアインターンや独学などで様々な経験を積む必要があるだろう。スペシャリストとゼネラリスト両者の共通言語を習得したとき、きっと頭の中で思い描く【創りたいもの】の実現可能性がぐっと増すことだろう。 

≪プロフィール≫

宮島大輔 /みやじま だいすけ

2007年よりホットティー株式会社にて、技術部門・マーケティング部門担当取締役として多大な功績を残し、同社のソリューション事業の躍進を牽引。2011年にロジックロジック入社、戦略設計からデザイン、プログラミングまで、オールラウンダーとして活躍。2012年8月より現任。 東京大学経済学部卒。

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