ITベンチャーの雄、DeNA,Mixi,GREE創業者の3名の歩みを比較してみました

ITベンチャーの雄、DeNA,Mixi,GREE創業者の3名の歩みを比較してみました。

ディー・エヌ・エーとは?

株式会社ディー・エヌ・エー(設立当初は有限会社)は、1999年3月に南場智子氏が設立しました。 インターネットオークションから事業から開始した事業は、携帯電話専門のオークションサイトの運営、携帯電話専用ゲームサイト「モバゲータウン(現 モバゲー)」のヒットにより有名になっていきます。携帯電話会社auの「au Shopping Mall」と言うショッピングモールサイトの運営、NTTdocomoとの合弁で「E エブリスタ」というコミックや小説の投稿サイトの運営なども手掛け、日本でも有数のインターネットのポータルサイトの企画運営を手掛ける会社となっています。
設立者の南場智子氏は1962年生まれ、新潟市のご出身です。高校時代までを新潟で過ごした南場さん、津田塾大学英文科を卒業後1986年マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社しましたがプレッシャーの中成果をあげられず、2年後にはハーバード・ビジネススクール留学のため退社します。ハーバードでMBA取得後復職をしましたが思った成果も出ない中、転職を考えた時期もありましたが、会社に引き止められる形で仕事を続ける中、その才覚を表し1996年にはマッキンゼーで最年少パートナー(役員)に就任しました。
そしてついに1999年有限会社から始まったディー・エヌ・エーはあっという間に大企業に成長してプロ野球チームを抱えるまでになりました。

ミクシィとは?

Mixi

出典:wikimedia

ミクシィの前身は1997年当時東京大学の学生であった笠原健治氏が始めたIT系求人サイトです。笠原氏は、東京大学在籍時代の、経営戦略のゼミに出てくるアメリカのIT企業の事例を知り、創業に至ったということです。PCの購入費用を捻出するために、大学のゼミ合宿に参加の辞退を申し出て、その後最初に自分1人でサイトを構築したという話には、強い起業家精神を覚えます。
1999年には有限会社イーマーキュリーを設立し、2004年SNSサービス「mixi」の運営を開始します。 Mixiが軌道に乗ったことにより2006年には社名を株式会社ミクシィに変更、同年9月にはマザーズに株式を上場しました。ただ2012年にはツイッター、フェイスブックなどのアメリカ初のSNSが台頭し、ミクシィは株価低迷に悩まされます。
転機は2013年10月にリリースしたスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」。現在はそのモンスターストライクを代表とするゲーム事業を牽引してきた森田仁基氏が社長に就任し、笠原さんは会長職に退きました。モンスターストライクはリリースから一年で世界の累計利用者数は1500万人を記録しています。森田社長は現在ミクシィの事業をSNS事業、ゲーム事業、ライフイベント事業と多角展開を図っています。
ライフイベント事業としては「街コン」を企画しており、この多角化によりモンストに依存している利益売り上げの安定化を目指しています。現社長の森田氏はモンスト開発時には「世の中にないものを作る」ことに重点を置きました。2014年には社内で新規事業計画を公募する制度を設け役員、社員で新しい事業を実現させる試みをしています。

グリーとは?

GREE

出典:wikimedia

2004年創業者の田中良和氏がもともと個人の趣味の一環として始めたSNSサービスです。また前述の笠原氏と田中氏は学生時代からインターネットへの興味・関心が高く、ネットエイジという会社で同時期にインターンを経験していました。
田中良和氏は大学卒業後、ソニーコミュニケーションネットワーク、2000年2月に楽天への転職を機に、楽天時代には様々なインターネットサービスの企画や開発を行いました。楽天株式会社最高技術責任者である安武弘晃氏は当時の田中良和氏の上司です。グリーは提供後、一ヶ月余りで利用者が1万人、同年10月には10万人を突破します。
田中さんは10月に楽天を退社し、12月にグリー株式会社を設立しました。社名の由来は「Six Degrees of Separations」、世の中の人がそれぞれ6人の知り合いを紹介すると世界中の人と間接的につながることができる。という仮説からインターネットの楽しさ、便利さを新しく生み出していく存在でありたい、という田中良和氏の思いが込められています。
2005年には携帯電話向けのゲーム、モバイルサービスを開始し、会員同士のコミュニティや交流できるコンテンツも充実しています。その後も順調に利用者数が伸びていき、2007年100万人突破、2009年に1500万人を突破します。
しかし、会員増のきっかけともなった「コンプリートガチャ」の手法が景品表示法違反の指摘を受けたり、2013年にはプログラムミスによる超過課金問題が発覚し、その対応の一部が問題視されましたが超過分について全額返金の対応を取ることで、問題は収束しました。
田中良和氏のゲーム開発のコンセプトはユーザーが今欲しいものをあまり変化をさせずに提供する、あるゲームが流行ったらそれと同じようなものを作っていくことです。現在も若い人を中心に会員数3500万人が利用しています。

3名の創業者の共通点とは?

ディー・エヌ・エーの南場氏はマッキンゼー時代に、ミクシィの笠原氏はmixi会員数の伸び悩み、グリーの田中氏も手法や課金問題での対応で挫折を経験しています。
そんな中でも自身のポリシーを大切にすることでみなさん、それぞれピンチを乗り越えてきたと言えます。以下、南場氏、笠原氏、田中氏が大切にしてきた経営上の信念をご紹介します。
DeNA 南場氏

出典:wikipedia

人材育成の中で「キモの力」を鍛えることに重点を置いています。失敗を恐れずリスクにも動じない胆力を持つ事業家が多いほど 事業を大きくできるという考えを持っています。
Mixi 笠原氏

笠原健治

出典:flickr

純粋な熱意を訴えることで説得が困難そうな相手でも、必ず動かすことができる。また、「0を1にする」という自身の強みと、経営陣のほかの方々の強みを生かして次世代へ向けた変革をしていく事を大切にしています。
 GREE 田中氏

田中良和

出典:dream gate

SNSのサービスに固執することはないが、身近な人と一緒に使えるサービス、ユーザーが「誰と何をするか」 をサポートすることで、人を幸せにする事を目指しています。3名の経営者の方が、自社の経営の立て直をする際、それぞれご自身の考え方やポリシーで後任への継承や、自身の改革で社内体制の見直しを行っていますが、共通しているのは皆さんのネットワークビジネスに対する情熱と、純粋に「他者とのつながり」で人を幸福にしたいという想いです。

まとめ

ディー・エヌ・エー、ミクシィ、グリーが提供しているSNS、ソーシャルゲームでは実際に会うことは難しくても人々は容易につながることができ、それによりユーザーは「思ったよりも世間は狭い」ということを実感し、つながりを大切にする現代の若い人たちの気持ちにマッチしたことが、現在も三社が支持されている要因になっています。
また、3社ともそれぞれの開発目標は違いますが、ユーザーの価値観を読んで、常に新しいコンテンツを生み出すことを失敗を恐れずに取り組んでいます。 3名の創業者の方々は決して特別な人ではありません。ただ、純粋な思いを実現するエネルギーには感服します。また、経営を続けていくうちにうまくいかない場面が出てきたときに、自身の失敗を素直に認め思い切った方向転換ができる姿勢も素晴らしいものだと思います。
笠原さんは、日本では能力がある方でも起業する人や新しい産業に挑む人が出るような文化がまだ根付いていないとおっしゃっています。ただ、それがうまくいけば、日本初のブランドを生み出せるということ、自分も含め若い人には頑張ってほしい。というメッセージを持っています。皆さんも失敗を恐れず新しいことに取り組んでみてはどうでしょうか?