スティーブ・ジョブズの後継者、AppleCEOティム・クックとは?

ジョブズ亡き後も絶好調のApple社

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カリスマ的な存在だったジョブズの亡き後、Apple社の先行きを危ぶむ声も一部ありました。ジョブズの後を継いで6代目CEOとなったティム・クックは多大な期待と不安を背負う中でのスタートとなりましたが、結果として2015年第1四半期の決算売上高で30%増営業利益で39%増と史上最高の成果を挙げました。

Apple社の好調ぶりにはiPhone6シリーズ中国市場での好評が大きく貢献しています。2014年9月に発売されたiPhone6シリーズの2015年第1四半期の売上は551.9億ドルで、前年同期のiPhone、iPad、Macの売上高合計の503.6億ドルを上回っています。新興国市場でも業績を大きく伸ばしており、特に中国からの売り上げは前年比で70%増、前期比で157%増と急激に成長しています。

同性愛者であることを告白

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クックは『ブルームバーグ・ビジネスウィーク』2014年11月3日号に寄せた手記で、ゲイであることをカミングアウトしました。クックは以前からLGBTの権利を擁護する発言をしていましたが、世界的な大企業のCEOが自らカミングアウトするのは異例なことで、クックの告白は大きな反響を呼びました。手記の中でクックは「同性愛者であることは神から与えられたすばらしい贈り物の一つ」と述べています。

ハードワーカーとして有名なティム・クック

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業績が絶好調でもストイックに仕事に励むクックの姿勢に変わりはありません。ヨーロッパやアジアのパートナーとの業務もあるクックは夜中でも早朝でも電話がつながると言われています。毎朝4時半に社員へメールを送り、最初に出社して帰るのは最後とのことです。月曜日の準備のため日曜日の夜にスタッフを招集してミーティングをおこなうこともあるといいます。

産業エンジニアリングを学び、デザインへの理解もあるティム・クック

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1960年アラバマ州に生まれたクックは、オーバーン大学を経てデューク大学でMBAを取得後、1998年に業務運営担当の上級副社長としてApple社に入社しました。分析力と行動力を兼ね備えたクックはその業務運営の手腕を高く評価され2005年にはCOOに昇格しましたが、クックの強みはそれだけではありません。

Apple社の製品の特長はデザインと機能の融合にあるといえます。ジョブズが製品のデザインに強いこだわりを持っていたことは有名ですが、オーバーン大学で産業エンジニアリングを学んだクックもまたデザインに対し深い理解を持っています。クックは製品の開発段階やデザインにも大きな影響力があると言われており、洗練されたデザインを誇るApple社の路線が継承されることが期待されています。

ティム・クックの考え方、志向性とは?

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横暴で独裁者とも言われたジョブズに対し、クックは穏やかで誠実な人柄として知られています。サプライチェーンの劣悪な労働環境を厳しく批判された際には、従業員に対し「サプライチェーンの問題から目を背けない」と約束する手紙を送っています。2014年に行われたインタビューでクックは、私は私でしかありえない、ジョブズのようになるという目標は持っていないと語っています。

対照的なパーソナリティを持つふたりですが、Apple社の製品を最高のものにしようという情熱は共通していると言えるでしょう。2012年12月の『ビジネスウィーク』でのインタビューでクックは、ただの良い製品ではなくありきたりの製品でもなく、絶対的に最高の製品を作り出すための偏執的なまでの集中力こそApple社のDNAだと述べています。

AppleはかつてのSONYの二の舞にはならないのか?

かつて次々と画期的な製品を生み出し一世を風靡したSONYは出井伸之氏が社長に就任してから振るわなくなったと言われます。ティム・クックのAppleも二の舞とならないのでしょうか。それは今後の結果次第です。創業者であるカリスマ、ジョブズ以降のCEOが今後いかにApple社を牽引していくか目が離せません。