Macのデザインを支えた男、ジョナサン・アイブとは?

アップルの製品といえば、デザイナーやクリエイティブな仕事を持つ人に愛用者が多く、そのデザインは「シンプル・イズ・ベスト」を具現化したような素敵なデザインですよね。そんなアップルの現在の主要製品のデザインを手がけた、ジョナサン・アイブという人物をご存知でしょうか。

イギリス出身でMacのデザインを手がけたジョナサン・アイブ

出典:pakutaso.com

ジョナサン・ポール・アイブは1967年ロンドン生まれの47歳。現在のアップルのインダストリアルデザイングループ担当上級副社長です。

大学卒業後にインダストリアルデザインを学び、ロンドンの会社を経て、1992年にてアップル社に入社。初代iMacから、MacBook、iPod、iPhoneと、アップルの主要製品全てのデザインを担当してきました。

「素晴らしいデザインとは、初めて触る瞬間でも直感的にその方法がわかり、それ以外の使用法こそ逆に思いつかないように見えるもの。」

とアイブは語っています。彼の言葉どうりのデザインが、見事に製品に現れています。彼の才能は、かのスティーブ・ジョブズも認めており、ジョブズの右腕的存在だったそうです。

スティーブ・ジョブズの映画でも登場

2013年に日本でも公開された映画「スティーブ・ジョブズ」にも、アイブがでてきています。カラフルなiMacのデザインを考えていた長髪の彼がアイブ役だそう!

ジョナサン・アイブの強みとは?

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アイブのデザインの特徴は4つに分けられるようです。

トランスルーセント半透明な外観とポップなカラー。こちらは初代iMacに代表されるデザイン。丸みを帯びた半透明なプラスチックにキャンディーカラーやミルキーホワイトのカラーリングを施し、内側が柔らかく透けて見えるようになっています。

また付属品のAC電源コードまで透明になっており、内側のワイヤーが見えるようにデザインされています。この「うっすら内側が見えるデザイン」はなんとガムドロップキャンディーから発想を得たもの!アイブは製菓工場に通い、その視覚効果の再現方法を学んだと言います。ガムドロップキャンディーという身近なものから素晴らしいデザインを考えるアイブの発想力に驚かされます。

この白色の半透明プラスチックとキャンディーカラーの組み合わせは、当時爆発的に流行し、他社の消費者向け製品にも多く採用されました。

そして現在のiPhoneやMacBookに引き継がれる、プラスチックからアルミニウムに、キャンディーカラーから黒に、とより無駄を削ぎ落としたミニマリズムを体現するデザインへと変化していきます。

素材にアルミニウムを使用し、カラーを黒に限定することによって、ミニマリズムを突き進むアップルの姿勢を表すと同時に、製品のサイズや部品の数を減らし、さらには製品の強度も増す役割をも持っています。

コスト面、利便性までも追求したアイブの作品は評論家からも高く評価されており、彼のチームが手がけた製品は、アメリカインダストリアルデザイナー協会の Indusutrial Design Excellence Awardなど多数の賞を受賞しています。

ジョナサン・アイブとスティーブ・ジョブズ

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アイブが現在の役職に就いたのは、スティーブ・ジョブズがアップルへと復帰した1997年でした。ジョブズからは「ジョニー」と愛称で呼ばれていたことからも、その親密さが伺い知れます。

生前のジョブズはアイブについて「アップルの核心を理解する人」「アップルで私の心の同伴者」 と評したそうで、彼から深い信頼を得ていました。ジョブズの DNAを受け継いだアイブが、現在のアップルを率いるカリスマとなっています。

裏方として影で支えていそうなプロダクトデザイナーが、本業のデザインを極めたことで、優秀な経営者に認められ、今やアップルの顔となっているなんて、なんだか立身出世の物語そのもの、という感じです。

今与えられている仕事を熱意をもってこなせば、きっと明日が見えてくるということを、アイブは教えてくれる存在なのではないでしょうか。