カワイイをビジネスに!?株式会社T-Gardenに見るF1層ビジネスモデル

F1層は、20~34歳の女性のことを指し、購買意欲が旺盛で自己投資に余念がなく、他の層と比べて売り上げに与えるインパクトが大きいといわれています。かの有名な藤田田さんも「ユダヤ商法に商品は2つしかない。それは『女』と『口』である。」という名言を残しているほど、昔から重要なターゲットとしてとらえられています。こういった、F1層に対しての分析のため、女性へのアプローチを独自の手法で成功させている、株式会社T-Gardenの事例を基に分析をしていきます。

1. どのような会社?

株式会社T-Gardenは2004年2月に設立された、女性向けEコマースを手掛けるベンチャー企業です。メディアサイト・Eコマースサイトの運営の他、自社ブランド販売や、ファッションイベント企画などを手掛けています。ビジネスを行う上で、売り上げの鍵を握ると言われるF1層をメインターゲットとして置いていることが特徴的な会社です。

2. どのような戦略をとっているの?

ECサイト運営、自社ブランド販売によるマーチャンダイズ、プロモーション・メディア事業を行っています。ターゲット層は、F0~F1層(F0層が13~19才まで)が中心で、この層はガラケー・スマートフォンの利用がメイン、PCでの同行がつかみづらいといわれています。そこで、自社携帯サイト「Candywalker.com」を運営し、女性ターゲットのニーズを図るとともに、自社ブランド販売の実施や、Eコマースサイトとの連動、ニーズを基にしたメディア事業の実施などを幅広く手掛けていく戦略をとっています。
また、メイン事業のファッション向けのECサイトの市場規模は年々拡大していて、2013年の予測では約7,500億円の規模になると言われており、今後が期待できる業界です。
消費の大きな動向を握るといわれる彼女たちの情報を徹底的に集めることで、各業界、企業への協業を実施し、高い実績と信頼を積み上げています。女性向けのコスメやファッション商品は、広告宣伝費の割合が非常に高いと言われており、自社サイトでの販売を除くと、この広告宣伝費がT-Gardenの大きな収益源になっていると言えるでしょう。

3. ビジネスモデルはどうなっているの?

続いて、各事業のビジネスモデル具体的に検証していきます。

自社ブランド、『AngelColor』『CandyDoll』など、女性ティーン向け商品を販売する「Candywalker Shop」の場合

渋谷系ファッションブランドとして、自社商品の売り上げを中心に収益を得ているECサイトです。日本発の安心・安全なカラーコンタクトレンズとして有名な『AngelColor』や、F1層に絶大な人気を誇る若槻つばさとプロデュースするコスメブランド『CandyDoll』など、幅広い商品を手掛けています。
自社の圧倒的な強みであるポータルサイト「Candywalker.com」の情報を基に、的確にニーズをとらえた商品の販売が、高い収益化の要因となっています。また、商標取得などのコンプライアンス部分もしっかりと押さえ、他社からのクレームや権利侵害の問題を事前に解決するよう徹底。せっかく商品が販売できる状態になったのに、一からやり直し、という事態を防いでいるところも市場に評価されている理由の一つです。
ここで面白いのは、「Candywalker Shop」を用いて、自社ブランドの販売まで手掛けていることです。商品の企画から販売まで、全行程を含めて行うことで、在庫リスクなどを抱える恐れがありますが、利益率は高くなります。例えばファッションブランドで有名な「UNIQLO」の場合は、サービスの企画段階から生産、店舗への卸、販売まですべて一括で行っていて、独自のコンセプトやユニークな商品を投入することで、他社にはない価格や機能性を提供して高い人気を有しています。
大元のニーズをしっかり把握した上で商品化を行えるという点で、他社とは一線を画した商品を販売しても、売り上げを確保できているのだと考えられます。
また、自社ブランドの『AngelColor』は、コンタクトレンズを取り扱っている点にも注目ができます。通常コンタクトレンズは原価率が低く(コンタクトレンズ1つあたりの原価が30円と言われています。商品を販売するまでにかかる研究開発費が販売価格に上乗せされています)、利益率が高くなる有望な商品としても知られています。何度も同じものを購入するタイプの商品でもあるため、一度ブランドの確立に成功すれば、安定して高収益を生めるモデルになるのではないでしょうか。

全ての商品が無料で試せる口コミサイト、「ガールズモニター」の場合

「ガールズモニター」は、コスメやダイエット商品を無料で体験できるサイトです。ブログやホームページ等の何かしらの情報発信を行っていることを前提に、モニター用の商品が自宅まで郵送されます。ここで試した感想をエンドユーザーが口コミとして情報発信し、クライアントの販売促進に貢献する仕組みとなっています。
企業は、「ガールズモニター」が集めたエンドユーザーに対して、用途に応じてサンプリング、モニターアンケート、リアルイベントを実施して収益を上げています。ここで、企業とエンドユーザーのマッチングを行うことで、T-Gardenの利益となります。他の企業では持ちえない「発信力のある女性」を企業に提供し、収益を上げている事例でしょう。


メールアドレスを入力するだけで、簡単に仮登録ができるようになっています。その後の会員登録画面では、HPのアドレス入力が必須(twitterのアドレスでも可)となっていて、情報発信を積極的にする女性を集めようとしていることがわかります。

各商品にモニターとして参加したり、口コミを投稿したりすると、ポイントが手に入るようになっています。ポイントは好きな商品と交換ができるようになっていて、ポイントを活用しながら口コミ等の情報が増えるような工夫がされています。
以上となります。F1層への商品開発、サイト開発は、UIやUXを非常に意識してプロダクトを作っていくことになるはずです。ただ単に技術を学べるだけではなく、消費者目線に立ったプログラミングができるようになるため、自身の成長にもつながりやすい面白い業界だということができるでしょう。

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