芝浦工業大学 工学部 情報工学科 准教授 福田浩章さんインタビュー

芝浦工業大学として、学生にどのような心持ちを持ってほしいと考えているかを教えてください。

目的としては、プログラミング全体をデザインできる人材になってもらえるよう心掛けています。ただ単に仕様書に従ったコーディングをするのではなく、仕様書を描ける人、全体をデザインできる人になるよう意識して授業で教えています。
今の日本では、設計できる人が必要とされていると思いますが、コーディングだけしかできない人が多いです。もちろんそれだけでも良いのですが、せっかく大学まで来てもらったからには、自ら新しいものを作れる人材になってほしい。そのため、ただ単にコーディングの技術を教えるだけではなく、理解を促せるようなカリキュラムを組んでいます。もちろん設計をするためには、自分でコードを書く経験が必要不可欠ですが、自分が書いたコードを見て理解する過程があってこそ、設計ができる、全体がデザインできるようになりますからね。
学校のカリキュラムとしては1年生の時から前期・後期と4年間で合計8回プログラミングの講義を実施します。複数ある理論系の授業、演習系の講義を受けていくと、自然とプログラミングが上達し、設計まで含めた構造理解ができるようになっていきます。
芝浦工業大学ではCやJavaを中心に、設計ができるようになるため、構造を理解するために考え抜かれた講義が多いです。なぜこう書くべきか、なぜこう書いてはいけないかを中心に教えています。それらを踏まえた上で、アーキテクチャ(構造)はどうするか、設計はどうすべきかを、演習を通じて身に付けていく形です。
そのため、書く事だけではなく、「読む」事を講義で積極的に教えています。毎回、授業の後に課題を提出して、次の授業で回答を毎回解説しているのですが、いつでも見られるようにWEB上にアップして、理解を促すよう配慮もしています。

実際に授業を受けた学生は、大学を離れた場ではどのような活動を行っていますか?

一例としては、デジクリ(Digital Creation Circle)などのサークルを中心にでしょうか。映像班やプログラミング班といった班構成になっていて、主にゲーム制作を行っているそうです。もちろん工学部の学生だけが所属しているわけではないですが、学園祭での発表会等、積極的に活動しているようです。

 デジクリ(Digital Creation Circle)のホームページ。ゲーム制作を中心に、学園祭での発表会を行っているとのこと。

最後に、エンジニアインターンを見る学生へ向けて一言お願いします。

コードを書くことも大切ですが、それと同じくらいコードを読むことも大切にしてください。例えば、何か一つのモノをゼロから作り上げてみると、その過程で色々な事を学びます。プログラミング言語だとif文はこう書くなど、基本的な使い方ですね。ですが、それは始めからできる訳ではないので、まずは似たサンプルコードを読んで、「理解」していく必要があります。数学の勉強と一緒で、ただ公式を覚えただけ(≒サンプルコードを覚えただけ)では問題は解けません。一つ一つの構造を理解して、それを組み立てられるようにならなければ自分が作りたいものはいつまでたってもできないですからね。地道な作業ですが、書いて、読んで、そして理解する事。それをどれだけ積み重ねられるかが、次のステップへ行くために必要なことになると思います。