株式会社コミュニティコム代表取締役・星野邦敏さんインタビュー

1. 星野さんはなぜ7Fというコワーキングスペースをはじめられたのでしょうか?

もともと私は赤羽で会社を始めたのですが、その当時創業したばかりの会社が集うインキュベーション施設にいました。その後西日暮里で廃校になった中学校をオフィスとして使っていたのですが、東日本大震災の後かなり古い建物だったため、立て壊すこととなり、オフィスの引っ越しを余儀なくされました。
普通のオフィスにしてもよかったのですが、職場としての機能も兼ねたコワーキングスペースとして大宮に「7F」を開設するに至った理由としては大きく分けて3つあります。
まず一つ目は、IT業界のような移り変わりが激しい業界では、自分の中で情報は自然に集まってくるような仕組みをつくっておくことが非常に大切だと思ったからという理由があります。現在仕事のなかでどのようなフレームワークを使っているだったり、制作・開発の際に便利なツールがあるといった話をコワーキングスペースという場を運営することでいつでもきけるようになると考えました。
2つ目は、私はもともとWordPressのイベントなどを中心に全国を飛び回っておりまして、自分自身がスピーカーとしてお話させて頂く機会が数多くございます。全国各地のイベントに顔を出す中で、現地の同業者の方と知り合うのは非常におもしろく、そういった出会いの場所を自分でも運営してみたいと思ったのが2つ目の理由です。幸いにも、自分の周囲にはすでにコワーキングスペースを運営されている方がいらっしゃったので、アドバイスを頂きながら自分でも始めることができました。
最後3つ目の理由は、金銭的なお話(笑)なのですが、家賃を考えたときにどうせ場所を借りるのであれば、当然広くなればなるほど家賃はあがりますが、それなりの広さの場所を借りるのとかなり広い場所を借りるのはそこまで大きな家賃の差になりません。それならば思い切ってある程度広い場所を借りて、色んな人たちに集まってもらって、自分が話をするときもコワーキングスペースを使ってやってしまったほうが移動もしないで済むし、場所代として人からもらったほうがいいと考えました。
またコワーキングスペースを開設する場所として、なぜ東京ではなく、埼玉の大宮を選んだのかというと、私の地元が大宮なので、地元の人達にもコワーキングスペースを利用してもらえる地盤があったこと、そして埼玉県は日本でも稀に見る今も人口が増加している県で、将来的にはもっと子育て中のフリーランスの女性の方にもこのスペースを利用してもらえるような場所をつくれたらという思いもありました。
7F」はオープンしたばかりなのですが、2012年の12月は、600名の方にお越し頂いていて、平日は一日あたり20人ほど、土日には一日あたり40人ほどの方に来て頂いています。イベント・勉強会も開催している、イベントを開催した際には70-80名ほどの方が来てくださっています。
これからもっと皆様にお越し頂けるように頑張っていきたいと考えています。 

2. 御社ではなぜWordPressでのサイト制作をメインにやられているのでしょうか?WordPressの素晴らしい点について教えて下さい

あまり深く考えることなく、WordPressでのサイト制作をするようになり、数あるCMSがあるなかでWordPressに早い段階から触れていたので、他のCMSに乗り換えるよりも学習コストが低いということで、WordPressでサイト制作をする機会が今でも多いです。
ただ数あるCMSがあるなかでWordPressのシェアは世界中で見たときに2012年では50%を超えており、みんなが使っているからこそWordPressでのサイト制作には数多くのノウハウが蓄積されており、Web上で検索してもWordPressに関するナレッジがすぐに見つかるというメリットもあると感じています。日本語でもWordPressに関する情報は数多くあります。
また私は2009年からWordPressのコミュニティにも参加しているので、WordPressのことはすぐにコミュニティのメンバーにきけるというメリットもあります。あとはCMSなので、自分だけで運用するといった話でなく、自分以外のHTMLやCSSが書けない人でも管理・更新作業を行うことができるというのは大きいと思います。
さらに助かるのは、WordPressではプラグインというものがあり、すでに便利なプラグインがたくさん準備されていて、自分で一からコードを書かなくても様々な機能が実装できることです。自分で「Japan Tenki」というプラグインを作ったのですが、このプラグインを作ったことで官公庁の仕事が増えたこともありました。単純なプラグインだったんですけどね(笑)

3. 大学生のプログラミング初心者がWordPressでのサイト制作に挑戦してみることについてどのように思われますか?

大学生のプログラミング初心者の方にお話するとすれば、まずは自分で簡単なものでもいいので、とにかく作ってみること。そして作ったものを公開していくことが重要だと思います。
今だとアプリやWebサービスを作る敷居は昔と比べて格段に下がり、習得もある程度のところまでなら容易になっているので、プログラミング初心者の人と中級者の人の差はそれほどないように思います。ものすごくコードが書ける人は別ですが…
WordPressはPHPで書かれています。なので、WordPressのテーマをいじりながら自分の作りたいサイトを実際に形にしながら学ぶというのがいいように思います。やはりやりながら学ぶのが一番です。作りたいものを決めてからとにかく作るというのが大切ですね。
私の場合は、元々ホームページビルダーを使ってサイトを作っていたのですが、WordPressを使ったサイト制作を行うようになり、その際一緒のインキュベーション施設にいた事業者の方々にプログラミングを教えてもらう機会がありました。これは非常にラッキーでした。私は元々理系ではなく、文系の人間ですし、エンジニアとして企業にはいって仕事をしたことがあるわけでもありません。本当に起業して仕事をこなす中で、プログラムを書けるようになっていったという感じです。
ただあまり難しいと思わないで大丈夫です!最初に覚えるべきなのは、どのプログラミング言語でも共通で出てくる話ですが、条件分岐であったり、繰り返し処理の書き方です。WordPressでこのような処理を書くのであれば、PHPでこのような処理を書けるようになることからはじめればいいと思います。
またWebサービスやアプリを作るときには、自分の興味・関心ベースで作ることをおすすめします。初心者向けの書籍を最初から読んでいくと、勉強していっていることが果たして何のためにやっていることなのかそれがわかるのがかなり先のことになるので、その途中でやる気を失ってしまいがちです。やはりなにを作ることを決めて、それに応じて必要な知識を抑えていくやり方をおすすめします。

4. 星野さんはサイトを作ること、サイトを運営し続けることのどちらが難しいと思われますか?

これは受託でのサイト制作か、自社サイトの制作であるかによってどちらが難しいかが変わってくるかと思います。受託だと、作るほうが難しいと思います。それはお客様の要望をきちんと把握し、それを実現させる必要があるからです。具体例をあげるとするならば、スマートフォンに表示最適化したサイトをつくってほしいといった要望などがあげられます。それを実現するには、レスポンシブデザインに関しての理解とコーディングが必要になります。このように受託の仕事は、自分の知識以上のことに挑戦していけるという要素があります。
お客様の要望に応えるためには、当然技術の引き出しを多く持っておく必要があるので、200くらいの技術があってようやく100の出来のサイトができるというようなイメージかと思います。
また受託開発の場合、一度納品してしまえば運用に関しては納品先の会社でやることが多いので、サイトを運営し続ける難しさというよりはサイトを作ることの難しさがあると言えます。
その一方で自社サイトの制作となると、自分でどのような機能を作るのかも決めることができるので作る事自体は誰でもできます。なので作ることは簡単です。ただ常に更新していくことが必要になります。更新を続ける大変さは自社サイトならではだと思います。

5. アフィリエイトに関するノウハウはどのようにして身につけていかれたのでしょうか?またアフィリエイトでのサイト収益化を実現するうえで重要な要素はどのようなところにあるとお考えでしょうか?

そもそも私がサイトを作り、運営するようになった理由は収入が欲しくて始めたわけではありませんでした。私がサイト制作をはじめたのは、2003年で、私が病気で入院していたときに、友人がホームページの作り方について書かれた本を持ってきてくれたからでした。当時はホームページビルダーを使って、自分の患っている病気についてのサイトを開設しました。そのサイトは一日たった30-40pvしかないサイトでしたが、そのサイトを通じて問い合わせがくることが多く、自分と同じ病気と戦っている人達と出会うきっかけとなりました。
そのときにニッチな情報であっても、Webであれば情報を載せてそこから人とつながることができる楽しさを知り、私はサイトを作るようになりました。ただサイトを作るときは、あくまでも趣味として始めたことだったので、そのときどきの自分の興味・関心に合わせてサイトを作ってきました。
2005年からは税理士法人で働きながら、税理士の資格をとるべく勉強をしていたので、税理士試験の情報サイトを作りました。その後も温泉の情報サイト、お花見の情報サイト、水族館の情報サイトなどを作っていきました。
アフィリエイト自体は、最初アフィリエイトリンクを一切いれずにサイトを作っていたので、アフィリエイトというものを知って、その後アフィリエイトリンクを入れる形でサイトを更新していっただけです。
見る人にとって有用なコンテンツを掲載する形で、きちんと更新を続けていくことが何より重要なことだと思います。また私がこのようにサイト制作・運営を続けてこれたのはそれが趣味で、好きだったからだと思います。仕事としてサイトを作り、運営していますが、私にとっては仕事でもあり、趣味でもあるのです。

6. 大学生のうちからプログラミング、Webデザインのスキルアップのために有給インターンをすることについてどのように思われますか?また最後にエンジニアインターンのインタビューを見ている学生にメッセージをお願い致します。

大学生のうちからプログラミング、Webデザインのスキルアップをすることは、英語を身につけるのと同じように見える世界が大きく変わるのでやる価値は大きいと思います。また大学生という時間があるときに、少しでもやりたいと思ったらやってみることを薦めます。
またこれは人において分かれるところではあると思うのですが、個人的には自分の情報や制作物(WordPressでサイトを作るでもいいと思います)をどんどんアウトプットして、表に出して行くことを薦めます。それはエンジニアとして就職活動するときにも活きてくると思います。
またおすすめなのは、自分で勉強会を主催してみることでプログラミング、Webデザインのスキルアップを図ることです。自分で勉強会を主催するメリットを2つお話したいと思います。
一つは、その勉強会の内容に応じてその分野に詳しい人達が集まってきてくれることです。そこで情報交換をすることができます。またもう一つの大きなメリットは、勉強せざるを得ない環境を作ることができることです。人は弱い生き物なので、自ら勉強せざるを得ない環境を作っていかないとなかなか勉強することができません。 
人前で勉強会で発表するとなっていると、人に説明する必要が出てくるので勉強せざるをえないことになります。また勉強会開催のコツについても補足しておくと定期開催の勉強会にすることがコツです。続けることが大切です。なぜかと言うと、定期開催にすると参加者も参加しやすいですし、勉強し続ける必要性が出てきます。勉強会開催後は、勉強会レポートを公開していくことをおすすめします。そうすることで、また色んな人達が集まってきます。詳しくは、私の書いたブログ記事「IT勉強会を自分で主催するメリット・デメリットと、それらを有料or無料で開く判断。 | WP-D」にまとめましたので、IT勉強会の主催にご興味がありましたらご覧ください。